音の無い世界
その言葉がしっくり感じられる、終わりの無い世界。
突然の雨
雨宿りする場所もない、秩序の聖域にいた俺は雨を凌ぐ場所を探してひたすら走る。
元々水の張ったこのフィールドに落ちる雨音は
静寂をかき消すかのように、連続的な音を奏でていた。
がむしゃらに走っていると、いつのまにかフィールドが変わっていた。
今は、アルティミシア城の中・・・のようだ。これで雨は凌げる。
だが全身ずぶ濡れ。
―――今日は散々な日だな―――
べっとりと張り付く前髪をかき上げ、深い溜息をついた。
水を吸って重たくなったジャケットと手袋を脱ぎ捨て、壁を背に座り込んだ。
―――クラウドは・・・どうしているだろう―――
俺みたいに、今頃雨宿りでもしているのだろうか。
彼も、今は一人で行動しているのだろうか。
どことなく、自分に似ている・・・気がして、気になっていた。
気がつくと彼にばかり目が向いていた。
何度か二人で話す機会があり、彼は戦う理由、俺にはそれがないと言っていた。
信念を貫き通す、強い心を持った男だと思い込んでいた俺は、その事に心の中では驚いていた。
なんだか・・・寒気がする。
ここにきて、どのくらいの時間が経過しただろう。
今更だが、生憎体を拭くような乾いた布などここにはない。
このまま濡れたままでいたら、風邪を引いてしまうかもしれない。
意識が朦朧としてきた。このままではまずい。
とりあえず、見つかりにくい場所に移動しなければ・・・と思いつつ、体が言うことを利かない。
「・・・くそっ」
本格的に風邪の症状が表れてきたようだ。
寒気もするが、反対に体全体が熱くて呼吸が少し辛い。
どうすることも出来ない俺は、目を瞑った。
「・・・スコール?」
少し離れたところから、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。足音が近づいてくる。
俺の目の前で足音が止まると、俺は重たい瞼を開け、声の主へと目を向けた。
碧眼で、黄色い髪の・・・。
「クラウ、ド?」
吃驚していたせいか、はたまた熱のせいで弱っているからか。
少しだけ、情けない声になってしまった。
俺の様子から察したのか、心配そうな色を目に湛えていた。
「俺に・・・かまうな」
風邪をうつしてしまうかもしれない、と思った俺はおもわず彼に拒絶の言葉を吐いてしまった。
本当は、クラウドが来てくれて嬉しいと感じていたのに。
ただ・・・心配されるのがイヤだった。
「俺はお前を、放ってはおけない」
「それは俺が仲間・・・だからか?」
普通に考えれば、それが当たり前だ。ただの、戦友・・・仲間だ。
だが、俺はその普通の感情以上の気持ちをクラウドに対して持っている。
言葉を返してから、俺はその言葉を発したことに後悔した。
クラウドが、その言葉に対してどう返答するのか、聞くのが怖くて
ろくに力も入らない体に鞭を打って、立ち上がり立ち去ろうと考えた。
が、やはり足元がフラフラしてしまい、目の前のクラウドに身を預けるように支えられた。
「すまない・・・離し」
言葉半分で、唇が塞がれた。
突然の出来事に、熱に浮かされた思考回路はうまく働かない。
反射的に腕で抵抗をしてみたが、今の力の差はクラウドが圧倒的に勝っていた。
されるがままに彼からのキスを受け入れるしかなかった。
ほんの一瞬唇が離れる、キスの合間に声が出る。
俺はそれが自分から発せられる声だと分かると、余計羞恥が顔に集まる。
反対に、彼の官能的な声にも、普段見せるクラウドのそれとは違って欲情をそそられてしまう。
どのくらいキスをしていたのか、わからない。
やっと唇を開放されたかと思うと、
「もう、限界だ」
ぎゅ、と抱きしめられて、そう耳元で囁かれた。
雨で濡れた服を、クラウドに脱がされた。
もう、恥ずかしいとかいう思考はほとんど無いに等しい。
ただクラウドのする行為に身を任せていた。
俺がまだ子供だとしても、これから行われる行為の意味を知らない訳ではない。
「風邪・・・うつ、るかも知れない・・・」
「うつしても、いい。スコールの風邪なら喜んで貰い受ける」
そして俺は、風邪の症状である朦朧とした意識ではなく
快楽と欲望という、違う意味での熱に浮かされて、微睡に沈んでいく
熱のせいで敏感になった俺自身は、少し触れただけで腹に当たるほど昂っている。
クラウドはなんも戸惑いもなく、俺自身を口で咥え込んだ。
「・・・ァッ・・」
押し殺そうとしても、漏れてしまう声。
目を力一杯瞑って必死に快楽に堪えるが、彼から与えられる快感は予想以上にいい。
舌が絡まるようないい所を攻める動きが、初めてとは思えなかったせいか
胸にもやもやした何かが渦巻いていく。
もういい、と行為を止めさせると、俺の顔を見上げた。
「よくなかったか・・・?」
ほんのりと色香を匂わせる表情と声に、どくんと脈が波打つ。
違う、そうじゃない・・・・
「も、出る・・・から」
限界が近いから、クラウドの口の中に出してしまう
それがイヤだったから・・・
「いいよ、口の中に出して?」
そう言うなり、また俺自身を咥え快感を与える
我慢なんて出来るわけがなかった、そんな事言われたら、尚更。
俺はそのまま、クラウドの口の中で達してしまった。
クラウドは俺のを零さないように俺自身から口を離し、そのままそれを飲み込む。
飲み込みきれなかった精液を、自分の指に絡め後ろの入り口へと触れた。
「うっ・・・ん」
彼自身の中指が少しずつ埋められていく
意識がはっきりしない状態で俺はその行為をぼんやりと眺めていた。
指が一本ずつ増やされていくたびに、彼のものも徐々に昂ってきていた。
いつもの彼とは思えない行動にやっと思考が追いついて
欲望を抑えることなんて出来なかった。
「クラ、ウドっ・・・!」
我慢出来なくて、名前を呼ぶ。
一度達した俺自身がまた元気を取り戻していた。
思うように動けない俺の上に立ち膝で俺の肩につかまった。
腰を浮かせて、高まる俺自身を手で支え、ゆっくりと腰を進める。
俺が急かしたせいか、まだ入り口が狭くて、クラウドの表情が少しだけ苦に染まる。
だからといって、彼は腰を進めることを止めなかった、全部埋まりきるまで。
動き始めると、先ほどの口での快楽とは比べ物にならないくらい波が押し寄せてきた。
クラウドも気持ちいいのか、悲鳴に似た声を上げている。
「あ・・・っあ!・・はぁっ!!」
「・・・クラウドッ・・・!!」
二度目の限界が俺を襲う。
クラウド自身も俺の腹に当たり、擦れて。
繋がっている自身をギリギリまで抜いて、一気に最奥へと突き入れた。
「うああっ・・!!」
「・・・くっ!!」
奥深くに俺は欲望の熱を吐き出す、それに反応するかのようにクラウドも俺の腹に白い液体を散らせた。
9.うつしてもいいよ?
2009.10.03
強制終了、襲い受って難しい!